ドイツ研修記⑤

カテゴリー │てるる詩の木工房その他

ドイツ研修記⑤
(泊まったお部屋の窓から。飛行機雲が縦横無尽に走っていてヨーロッパの空は人が行き交うのを感じました。)

明くる日。
朝ごはんは奥様のエスタさん特製のスープ(お粥?)です。
オートミールや海藻、スパイスが効いていて野草がたっぷり入っています。
昨日の散歩の時、別のルートに行ったエスタさんが摘んでくれた
特別な野草、ハーブなのだそうです。
聖書を読みお祈りをしている間、犬のニラちゃんが『ウー』と
何かつぶやいています。一緒にお祈りしているのかな?
その後食卓にいる全員で手をつないで輪になり
『ゲーゼイグ ネッテ マール ツアイト』(祝福された食事の時間)
と言ってからいただきました。
とても元気のでる不思議なスープでした!

ドイツ研修記⑤
(スペシャルハーブ、といっていたのはなんと行者ニンニクでした。)

工房に入ると木工機械の音、木の香り。
住宅と工房が一緒で毎日木と向きあっている私達にとって
日常に出会えてドイツを訪れて一番リラックスできました。
竪琴についてや、木や金属について、製作者としての話を一日中たくさんしました。
ライアー工房の話になり、いくつかの工房の話の後、
『私は12の工房を知っていますがあなたは13番目の工房です。』と言ってくれました。
実際の作業の際には簡単な英語や持っていったスケッチブックに絵を描いたり
ドイツ語で書いてもらったりしながら何とか理解し合えたのですが
抽象的な事柄についてはお手上げ。
ペロルの井出さんには彼が帰るまで通訳をして頂いて本当にお世話になりました。
お陰でニーダー氏と心を通わせることが出来、語学の大事さを痛感しました。

いよいよ弦を作る研修が始まりました。
ソプラノライアーでは弦の太さを指定することで対応出来たのですが
アルトライアーでは自分の楽器に合わせた弦を作る必要があります。
そこで自作の弦巻き機械を作り、様々な金属のワイヤーを探して
巻き弦を作っていたところ、その弦を見たニーダー氏が
『この楽器についてはプロフェッショナルの仕事だけど、
弦については私は40年間研究しているので工房に来たら教えてあげるよ』
と言って下さったのです。
彼はゲルトナー工房から独立後、
あちこちの弦製作所に教えを乞いに行ったそうです。
親切に教えてくれた所もあれば冷たく断わられた所もあり、
さらに自分で研究をして現在も研究中とのこと。
『弦を作るのは大変でお金もかかりますがとても楽しいことですよね!』
と言っていました。
いくつかの工房に教えたのですが実際に製作している工房は少ないそうです。

今回は私達のアルトライアーを沖縄から持参しました。
弦を製作しているのは工房のヘレンさん。
彼女は事務として入ったのですが手先がとても器用ですぐに
弦を作ることになったそうです。
ニーダー氏が計算を行い、彼女が弦を巻いて張替えていきます。
作業は3日に及びました。
とうとう完成した時、ニーダー氏はニッコリ笑い、
『今日は部屋に持ち帰って弾いて下さい。ひょっとしたら一晩中眠れないかもしれないですね。』
と言ってこの日は早目に仕事を終えました。

ドイツ研修記⑤


(工房内の写真撮影は彼の製作を尊重して行っていません。)
続く







同じカテゴリー(てるる詩の木工房)の記事
夢織機1号
夢織機1号(2020-03-18 22:27)


 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。