2019年01月18日21:37






木の歴史
ここしばらく製材・木取り・といった地道な仕込み作業が続いています。
倉庫の中の木を引っ張り出し、
適材適所で楽器のどのパーツに使うか決めて製材していきます。
伐採する時期は木が眠りにつく晩秋~冬の初めまで。
水に浸けて樹液を抜いた木を丸太のまま購入し、製材します。
製材するのもどの方向からどの厚みに切るか神経を使います。
一枚一枚年号を記入し、一年間は雨の当たらない軒下で乾燥。
その後倉庫に積み替えて8年~10年乾燥させます。
住宅と工房が一緒なので、10年も寝起きを共に暮らしていることになります。
今回表甲に使う予定の木。
直径70cm以上の大きな桑の木、
綺麗に柾目が通っている最高の木です。
実はこの木、最初丸太から製材した時にあっと驚きました。
中に切られた跡があるのです!!
(写真横に切れ目が入っているところ)
芯に当たって堅くて切れなかったのでしょうか?
若木の頃、何らかの理由で途中まで切られ、その後そのまま傷を包み込むように成長しています。
これだけ切れ目を入れられたにも関わらず、すごい生命力!
まっすぐで目が詰まっていて、こんなに大きく成長しているのです。
今回、楽器のために木取りしながらもほとんど狂いが生じませんでした。
ものを言わない木ですが、生き様を通して語りかけてくるものがあり、感動しました。
中にはこんな木もあります。
赤いまるで囲んであるところに鉄砲の弾が入っています。
弾の材料である鉛は比較的柔らかい金属なので刃物を痛めずに済みました。
戦争の時なのか、それともイノシシ猟の物なのか今となってはわかりません。
小さな種から芽生えて、光を求め大きく育ち、鳥や虫や小動物と共に暮らし、風雨に打たれ・・・
木は長い年月の中で、人と喜びも悲しみも共にしている、材となっても生命を持っている。
外から見てもわからない、木の内包している木目や美しい杢、
そしてこんなことに出会うとそんなことを感じるのです。